専門看護師はキャリアアップ?仕事内容や給与などの現状

ライター:鈴本 鈴

専門看護師

以前、看護師のキャリアップについての記事で、専門看護師について少しだけ触れました。
実際に専門看護師が生まれた歴史的背景、一体どんな人のことなの?看護師とは何が違うのか?法律的な立場など、お話したいと思います。

専門看護師という位置づけが生まれた理由

現在は看護師の中では知らない人はいないだろうと思いますが、まだ知らない人も世の中にはいると思います。これだけ高齢化社会が進めばいくら情報の世界でも、情報を取りきれない人がたくさんいると思うからです。ちなみに、まだネットにアクセス出来ていない人が50万人いると言われていますが、この先、急速にこの数は進むでしょう。

そのような話は置いておいて、何故、看護師でなく専門看護師が生まれたのでしょう?考えたことはありますか?実は日本看護協会が専門看護師を切り出したのは1987年のことであり29年前のことです。厚生省に「看護制度検討会報告書」というものを提出して専門看護師という地位の確立に動きだしたのです。
そして7年に及ぶ検討の上で1994年に専門看護師制度が発足し翌1995年7月から日本看護協会内に教育施設(当時は認定室という名称です)が開設されました。ちなみに、この認定室は専門看護師だけでなく認定看護師も含まれております。認定看護師制度発足は1995年5月のことです。何とか間に合ったという感じがしますね、、、、

専門看護師が必要とされた背景

さて、本題の「何故、看護師でなく専門看護師という立場の人が必要であったか?」ということですが、日本看護協会の切り出しは以下のものでした。
「近年の医療の高度化、専門化や国民の医療に対する関心の高まりは、看護業務にも影響を及ぼし、複雑かつ高度な業務や特殊な技能を有する業務、健康教育や保健指導に関する業務が増加している。このような変化に対応するには看護師の資格を持つものに対して、卒後
教育の一環として一定の専門分野についての教育を行い、各分野の看護業務が円滑に実施できるような専門看護師を育成する必要がある」というものでした。

看護協会は従来の准看護師・正看護師の上に位置する看護師資格となるものを作ろうとしたのです。実際に上の立場かどうかわかりません。何故なら専門看護師も認定看護師も、国から認められている国家資格は「正看護師」ということだけであるからです。どのように感じるかは個々の人次第ということです。

専門看護師の役割と資格について

専門看護師について日本看護協会は以下のように通達しています。
「専門看護師(英 CNS : Certified Nurse Specialist)とは、日本看護協会専門看護師認定試験に合格し、より困難で複雑な健康問題を抱えた人、家族、地域等に対してより質の高い看護を提供するための知識や技術を備えた特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有する看護師のことをいう。」
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%82%E9%96%80%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E5%B8%AB

簡単に言うと、医療・看護とその対象の人とのコーディネート役であり、医療・看護側に教育もするし、研究を進めて看護の経験値を文字化して深め、広めることをする人。つまり「看護師より特定の看護の分野で優れた看護を提供する人」という事ですね。
装飾言葉ばかりの気はしますが、必要な資格といえば「看護師」だけです。ただ、看護師の資格さえあれば名乗ることができるわけでなくて、一定の条件をクリアして日本看護協会の専門看護師認定審査に合格した人が名乗ることができます。また、看護師のように永久ライセンスと呼ばれる終身資格ではなくて専門看護師としての活動と自己研鑽を重ねて5年ごとに資格更新が必要となります。

専門看護師に求められる事

各専門分野において、以下の役割が挙げられています。

  1. 個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)
  2. 看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)
  3. 必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)
  4. 個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決をはかる。(倫理調整)
  5. 看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。(教育)
  6. 専門知識及び技術の向上並びに開発をはかるために実践の場における研究活動を行う。(研究)

専門看護師になるにはどうしたらいい?

看護師との絶対的な違いは「大学院で修士課程を終了していること」が必要になります。
3年生の看護専門学校、4年生の看護大学。看護師の国家試験を受けるための必要なカリキュラムは同じです。そこには、それぞれの校風に合わせてカリキュラムの違いはあるでしょう。しかし、修士(前期)課程を終了しているということは、更に大学院に進んで特定の看護専門領域についての学びを深めている人というわけです。また、看護師経験は5年以上、特定の看護専門領域に3年以上従事していることが必要です。看護は座学だけではエキスパートになれません。臨床での経験も必要になるのです。

具体的に専門看護師になるには、

    1. 日本国の看護師免許を有していること。
    2. 看護系大学院修士課程修了者で、日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位を取得していること
    3. 実務経験が通算5年以上有り、その内、3年間以上は専門看護領域の実務研修があること

以上を満たせば、年一回の専門看護師の認定審査(書類審査、筆記試験)を受け、合格すれば専門看護師認定証交付・登録となります。そして、5年ごとに認定更新が必要となります。

専門看護師の人口、人数は…

実際のところ、2016年1月の時点で専門看護師は1,678名。認定看護師は15,817名です。専門看護師は認定されるまでに時間と修士課程に進むという金銭面からもなり手が増えないのかもしれないでしょう。これに関しては、施設よっては専門看護師になるための支援をしてくれるところもあります。

勿論、資格認定が終了したら戻ってきて資格を活かすことが条件になりますが、勤務の優遇、給料の確保(全額ではないですけどね)、などのサポートを受けることができる施設もありますから、これから就職という方は是非、自分が就職しようとする施設にはどのようなサポートがあるのか確認することをお勧めします。
2015年には看護系大学は248校。ちなみに日本の国公立大学及び私立大学を合わせて775校です。日本の大学の約30%が看護学部を有している計算になります。大卒看護師が増えてくると思われる今後は大学院まで進む看護師が増えてくるのでないでしょうか?

専門看護師と看護師との違い

冒頭にもお話しましたが、看護師であることには変わりはありません。看護師は名称独占、業務独占です。では、、、、専門看護師とは名乗れなくなりますよね?名称独占ですから。
しかし、認定看護師も同様ですが、専門看護師と認定看護師は2004年に商標登録されたのです。この専門看護師、認定看護師の名称は日本看護協会の登録商標になっているので、特許庁が認めているため名乗ることができるのです。ただ、根幹の資格は国家資格である「看護師」で変わりなく、法的に責任を負おう範囲も看護師と変わりありません。その上で専門看護分野においての知識、経験を認められているという認定を受けたということです。

専門看護師に現場で求められる働き

私が現場にいた頃の専門看護師さんは、自分達を現場で活用してもらうためにはどうしたらいいのか?と悩んでいました。実際に彼女達自身が自己研鑽を積まないと認定の更新につながらないためです。大変なことだと思いました。看護師と同じように病棟配置され、同じ分だけの労働力を求められ、更に専門看護師としての活動を行い、その活動をまとめて認定更新に用意しないといけないのです。

しかし、本来、看護師は保健師助産師看護師法において、第28条の2 保健師、助産師、看護師及び准看護師は、免許を受けた後も、臨床研修その他の研修(保健師等再教育研修及び准看護師再教育研修を除く。)を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない。と定められておりますから、免許をとれたら学びは終わりではなくて、自己研鑽は続けないといけないと法律で義務付けられている立場でもあります。専門看護師と共同して、より安全で、安心な、看護を提供できるようにしたいものです。

専門看護師の現状はどのようになってる?

日本看護協会のデータでは、現在認定されている専門看護領域は11領域。
がん看護、精神看護、地域看護、老人看護、小児看護、母性看護、慢性疾患看護、急性・重症患者看護、感染症看護、家族支援、在宅看護の領域になります。多いのはがん看護領域ですが、これからの世の中を考えていくと、地域看護、在宅看護名の必要性は高くなることは必須でしょう。認定が始まった1996年には6名で始まった専門看護師が、20年で1678名になったのです。

大卒看護師が増えてくることは必須でしょう。看護の現場はそんなに直ぐに大卒、専門卒の括りは無くならないと思いますが、臨床の場がこのように大卒、専門卒などの考え方をしている間に専門看護師となってしまうのも未来の看護師さんたちには期待したいところです。まだまだ、看護の現場は専門看護師や認定看護師などを受け入れるには未熟なところがあります。それは歴史の結果しか知らずに、その場で繰り広げられた物語のような出来事を正しく知らないせいかもしれません。そのためには、医師会との関係も切り離せない内容となります。これは医師との立ち位置の話になり、医師の既得特権の話になってしまい、政治が絡んでくるのでここでは割愛します。

みなさんには、専門看護師発足からのいきさつを正しく知り、可能性のある資格であるのが現状であることを知っていただきたいです。

専門看護師はお給料の面では看護師との差

これは、施設や地域によると思います。専門看護師は病院、大学などの教育の現場、訪問看護ステーションなど様々ところで活躍されていますが、始まってから20年の資格であり、認知度はあまり高くなく、必要度も施設によっては低いかもしれません。
実際に、街の中核病院であっても地域によって、病棟看護によっては、「うちには必要ない」と考えられる経営者の方がいらしても不思議でないぐらいの認知度です。しかし、限られたプロフェッショナルと認められた証であると考えれば、素晴らしい存在であると思います。

専門看護師を必要としている施設に就職できた人は1~3万円/月の昇給が認められたと聞いていますので、就職時には専門看護師としての資格を活かしたいのか?とよく施設側と話し合う必要があります。また、専門看護師はケア全体のコーディネート役でもあるので夜勤に入ることは減ると考えると収入自体も考えているより減る可能性もありますので、注意が必要です。

今後、キャリアアップとして期待できる認定資格ではないでしょうか?

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